「理解されない4つの原因」のおさらい
「書いた文章が理解してもらえない」とお悩みの方へ(Part1)の記事では、
「読者を想定」することの大切さや、
「読者を想定する方法や考え方」などについて述べました。
Part2では、Part1の冒頭で列挙した「理解されない4つの原因」のうち、
2番目の「読者の存在に対する意識のもち方」について検討してまいります。
まずは「4つの原因」を再掲します。
(1)書く前に「読者を(正確に)想定」していない。
そのため「読者に伝わりやすい書き方や言葉選び」ができていない。
例えば「難しい内容」をわかりやすく噛み砕かずに書いたり、
「難しい専門用語」を説明なしで用いたりしている。
(2)自分がいいたいことを、自分がいいたいように書いている。
「読者の存在への意識が希薄」で、
「読者への配慮が欠けた文章」になっている。
具体的には「説明が不十分」になったり、
「読者が不快に感じる表現」をしてしまったりする。
(3)「文章力が未発達」なために、
「複数の意味に受け取れる曖昧な書き方」になったり、
「言葉足らずで意味が通じにくい書き方」になったり、
「センテンスが長過ぎて読みにくい書き方」になったりする。
(4)執筆後、しっかりと「推敲」していない。
そのため、ちょっとした間違いや矛盾、微妙ないい回しのずれ、
情報の確認不足などが修正されないまま読者に届き、
誤解を与えてしまう。
「自分の当たり前」と「読者の当たり前」は食い違っている
文章は、
「自分が書きたいこと」「自分が主張したいこと」
「自分が伝えたいこと」「自分が面白いと感じたこと」
などを書く行為だと考えがちです。
確かにそれは間違いではないのですが、
「自分が~」という気持ちが強すぎるあまり、
「読者の存在に対する意識」が薄くなってしまうことがあります。
自分の考えを自分の論理で書くことによって、
自分の中では一応納得できるかもしれません。
しかし、それを読んだ読者がどう感じるのか、
どういう気持ちになるのかを十分に考えていなかった場合、
例えば言葉が強くなりすぎたり、決めつけたり、
押しつけがましい表現になったりする危険性が生じます。
あるいは「自分の中の当たり前」をそのまま書いてしまい、
「一人ひとりの読者の当たり前」との「ズレ」が顕著になり、
理解してもらえなかったり、反感を買ったりするかもしれません。
当然ですが、「一人ひとりの当たり前」がまったく同じであることは稀で、
むしろ食い違っていることが多いものです。
自分が「当たり前」だと思っていることを、
他人が「当たり前」だと思っていないことがよくあるのは、
ある程度人生経験があれば、どなたもおわかりだと思います。
そもそも「文章による伝達」は、
「会話による伝達」よりも伝わりにくい面があります。
会話なら、身振り手振りや顔の表情、口調、声の大きさなどによって、
足りない言葉を補うことができますが、
文章にはそれがありません。
(※絵文字やスタンプ等はここでは考慮しません)
そのため、「書き手と読み手の当たり前」がずれていたら、
高い確率で相手には通じないと考えなければなりません。
最悪の場合、「そんなことは当たり前ではない」と相手に思われ、
不快にさせたり、怒らせたりしてしまうでしょう。
その結果、「書いた文章が理解してもらえない」状況に陥るのです。
「自分本位の文章」から「思いやりのある文章」へ
ここで、
「書き手である私たちは意識を転換する必要がある」
ということを訴えたいと思います。
それは、
「いいたいことをいう」という意識から、
「読み手の気持ちを考えながら、いいたいことを工夫して伝える」
という意識への転換です。
つまり、
「よりよく伝えるには、どんな書き方をすればいいのか」
という意識を出発点として、言葉を選び、文章を紡いでいくのです。
やっていることは、Part1でお話しした
「読者の受け取り方を想像しながら書く」こととほぼ同じですが、
ここでは「自分の意識を変える」ことに注目していただきたいと思います。
別のいい方をすれば、「誠意をもって伝える」ということです。
その気持ちが「言葉の選び方」を変えてくれます。
その気持ちが「文章の調子」を整えてくれます。
その気持ちが「配慮の行き届いた文章づくり」につながります。
その結果として、「相手に伝えたいことが伝わりやすく」なるのです。
それだけでなく、「きちんと伝えようとする誠意も相手に伝わり」ます。
「自分本位の文章」から「思いやりのある文章」に変わる、
といってもいいでしょう。
この意識転換によって「読み手の理解度も上がる」と私は考えています。
「自分がいいたいことをいう」という意識から一歩引いて、
もっといえば「強すぎる自分の気持ち」を少し抑えて、
「相手によりよく伝えることを優先する」ようにしたいものです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回以降も、引き続きこのテーマでお話ししてまいります。
読者登録をしていただければ、たいへん嬉しく思います。
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