AOHITOブログ

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「クルマ好き」のツボを突く自動車マンガ『GT roman』の魅力

『GT roman』という自動車マンガがあります。


国内外の魅力的なクルマ(主にスポーツカー)と、

それを操る個性的な登場人物たちが、

「roman」という店名のカフェバーと峠道を主な舞台にして、

愉快な物語を繰り広げます。

 

昔からスポーツカーがお好きな方なら、愛読されているか、

おそらくタイトルくらいはご存じなのではないでしょうか。

このマンガには、作者である西風さんの、

クルマへの思いや愛情、そして深い造詣がたっぷりと詰まっています。


スポーツカー好きの「ツボ」を突く名シーンや、

思わず「そうそう!」と叫んでしまいそうになる名セリフ、

そして本当に疾走しているような、

いきいきとしたクルマの絵がとても魅力的です。


1988年にコミックス第1巻が発売されて30数年経った今も、

とても思い出深い作品として私の心に残っています。

『GT roman』の面白いところは、

話に登場するクルマのイメージと、

それに乗る人物のキャラクターが絶妙にマッチしていて、

そのキャラクターがクルマの個性をさらに際立たせているところです。


つまり西風さんは、

クルマの魅力を最大限に表現するために、

キャラクターの設定を工夫し、

さらにそのクルマと人物のキャラクターを生かしたストーリー

練っておられたのだと想像しています。

 

それでいて、「まずクルマありき」の不自然な流れになっておらず、

「悲喜こもごもの人間のドラマ」がきちんと描かれているのです。

 

その人間ドラマの中に、

必然性を持ってさまざまなクルマが溶け込んでいるところが、

西風作品のレベルの高さを示しているといえるでしょう。

 

ハコスカGT-Rに乗る少々強面のromanのマスター、

ホンダZに乗るromanの常連客のタケシ、

スーパーセブンに乗る走り屋の青年ヒロシ、

アルファロメオジュリアスーパーに乗る若手サラリーマンの沢田……。

 

どのクルマも個性的でカッコよく、

「本当にこんな人が乗っていそう」と思えるので、

余計に物語に感情移入できるのかもしれません。

 

『GT roman』以外にも、

『CROSSROADS』『DEAD END STREET』等々、

西風さんは面白い自動車マンガをたくさん描いておられます。

 

自動車がお好きな方なら、きっとハマるのではないかと思います。

 

まだ読んでおられない方は、

機会があったら探してみてはいかがでしょうか。

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