「ちょっとした確認ミス」が誤解を招く
「X(旧Twitter)」の無料版は、
いったん投稿してしまうと後で編集(修正)することができません。
そのため投稿前によく「推敲」しておく必要があるのですが、
つい不注意で間違いを見落としてしまうこともあります。
投稿してすぐにミスに気づくことができたら、
削除して投稿し直せば済みますが、
「いいね」やコメントがついてからだと、
それごと消すのが申し訳なくなってしまいます。
そこで、場合によっては自分の投稿に自分で返信し、
「正誤」を明記してお詫びをするといった対応をしたりします。
SNSの文面に限らず、メールの文章でも何でも、
変換ミスや書き間違い、勘違い、情報の確認不足などに気づかず、
うっかりそのまま読者に届けてしまうことがあります。
するとそれが原因で文意を理解してもらえなかったり、
勘違いが勘違いを呼んだり、
場合によっては相手の気分を害したりすることも起こり得ます。
特に「相手の名前や重要事項」の記述を間違えたりすると、
人によっては怒りを買ってしまう危険性があるのです。
表立って怒らなくても、内心で「イラッ」としていることもあるので、
最悪の場合、その後の相手との関係性にひびが入る可能性もあるでしょう。
間違った情報を伝えないためにも、
相手に誤解を与えないためにも、
相手の気分を害さないためにも、
書いた文章を読み手に届ける前に(公表する前に)じっくり読み返し、
しっかりと「推敲」することを(全力で)お勧めします。
「理解してもらえない4つの要因」のおさらいと対応記事
本記事は、
「書いた文章が理解してもらえない」とお悩みの方へ
というテーマの最終投稿となります。
最初に「理解してもらえない4つの要因」をあげて、
それぞれ対応する記事を書いてきましたので、
未読の方は(Part1)から順番にお読みいただければ幸いです。
(1)書く前に「読者を(正確に)想定」していない。
そのため「読者に伝わりやすい書き方や言葉選び」ができていない。
例えば「難しい内容」をわかりやすく噛み砕かずに書いたり、
「難しい専門用語」を説明なしで用いたりしている。
(2)自分がいいたいことを、自分がいいたいように書いている。
「読者の存在への意識が希薄」で、
「読者への配慮が欠けた文章」になっている。
具体的には「説明が不十分」になったり、
「読者が不快に感じる表現」をしてしまったりする。
(3)「文章力が未発達」なために、
「複数の意味に受け取れる曖昧な書き方」になったり、
「言葉足らずで意味が通じにくい書き方」になったり、
「センテンスが長過ぎて読みにくい書き方」になったりする。
(4)執筆後、しっかりと「推敲」していない。
そのため、ちょっとした間違いや矛盾、微妙ないい回しのずれ、
情報の確認不足などが修正されないまま読者に届き、
誤解を与えてしまう。
そして今回は(4)の「推敲」についてお話ししてまいります。
長くなりましたが、最後までおつきあいいただければ嬉しく思います。
「第三者の目」で自分の文章を読み返す
文章は、ひと通り最後まで書いた時点で完成するものではありません。
間違いのないしっかりとした文章を読み手に届けるためには、
先ほど述べたように「推敲」を行う必要があります。
書き終えたあと、じっくりと読み返しながら「手直し」を行い、
可能な限りベストな表現を工夫していくことによって、
ようやく完成に近づけることが可能となるのです。
推敲時に確認すべき要素には、主に次のようなものがあります。
1)誤字・脱字・変換ミス・入力ミスがないかどうか
2)内容が矛盾(論理が破綻)していないかどうか
3)同じ内容を無意味に繰り返して(ダブって)いないかどうか
4)説明不足になっていないかどうか
5)誤解を招く書き方になっていないかどうか
6)特に必要のないことまでダラダラ書いていないかどうか
7)伝えたいことが適切な言葉で表現されているかどうか
8)固有名詞を間違っていないかどうか
9)事実関係が間違っていないかどうか
10)引用部分がきちんとルールに則っているかどうか
(※「引用」の方法については別の投稿でお話しする予定です)
まだあるかもしれませんが、
これくらいチェックできれば文章の完成度はかなり上がるはずです。
ここで重要なのは、
「その文章を書いた人間(自分)の立場や見方」ではなく、
「その文章を初めて目にする読者の立場や見方」を想像しながら、
一つひとつ確認作業をするということです。
実はこれがいちばん難しいことかもしれません。
自分が書いた文章は、いわば「自分の分身」のようなもの。
そのためどうしても自分の感覚や価値観で読んでしまい、
「第三者」が読んだらどう感じるのかが想像しにくいのです。
しかし、この壁を乗り越えなければ、
第三者が納得できる「客観性のある文章」を書くことは難しいでしょう。
「第三者」の目になるには、書いたあと、
読み返すまでに「少し時間を空ける」のが最良の方法です。
できれば書いた日の翌日以降に推敲するようにしましょう。
「文章を一晩寝かせなさい」
というアドバイスをされる方も多いと思いますが、
これは名言中の名言だと思っています。
もしこれまでご自分が書いた文章を「一晩寝かせた」経験がない方は、
ぜひ1度試してみてください。
修正すべき箇所が面白いように見つかり、
文章をいい方向に修正できるようになるはずです。
私見ですが、おそらく書いた直後は脳が興奮状態になっていて、
すぐには冷静になれないのではないかと考えています。
しかし、一晩眠って平常心を取り戻すことによって、
自分の文章を客観的に読めるようになるのではないでしょうか。
ところで、SNSでの投稿やメールの返信などのように、
わざわざ一晩寝かせるほどではない(もしくは寝かせる時間がない)場合には、
「何か一つ文章とは関係ないことを行う」といいでしょう。
例えば、いったんパソコンやスマホから離れてお茶を飲んだり、
軽く体操をしたり、家の中を歩き回って気分を入れ換えたりするのです。
これだけでも、書いた直後よりはいくぶん冷静になり、
間違いや矛盾に気づきやすくなるはずです。
いろいろ試して、ご自分に合う方法を探してみてください。
ここまでやれば、
かなり完成度の高い文章に仕上げられるのではないでしょうか。
もちろん、読者に誤解されることも少なくなるに違いありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後も文章に関するお役立ち情報を投稿していくつもりです。
読者登録をしていただければ、たいへん嬉しく思います。
【お役立ちツールの紹介】
『てにをは辞典』(三省堂)
言葉の意味ではなく、
「用例」のみを大量に集めた「書く人」のための辞典です。
「言葉の使い方」を調べるのに重宝します。
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