AOHITOブログ

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自動車大好き広場「むかしのフェラーリの車名につけられていた『数字』に関するちょっとした考察」

名前を見ればエンジンの大きさがわかる?

昔のフェラーリの車名につけられていた「数字」が、

原則として「1気筒あたりの排気量」だったのは有名な話だと思います。

フェラーリ250GTOなら1気筒250cc、

フェラーリ275GTBなら1気筒275ccといった具合。

 

これは、レーシングチームとして創設されたフェラーリ社が、

1940年代後半に自社で12気筒マシンをつくり始めてから、

長い間守られてきた伝統だったようです。

 

ちなみにフェラーリの車名の「数字」に関しては、

専門家の方が詳細な記事を書いておられます。

ここで述べるのは、

あくまでもいち自動車好きの私見であることをご承知おきください。

 

想像するに、当時のフェラーリ社にはおそらく次のようなポリシーが

あったのではないかと思っています。

 

「ウチ(フェラーリ)は、

世界最高峰の12気筒マシンを製作するメーカーである。

基本は12気筒マシンなのだから、

車名に総排気量をわざわざ謳う必要はない。

1気筒分の排気量さえ示せば、

その車のエンジンの大きさや性能はわかるはずだ」

(※車種によって一部例外もあったようですが)

 

そうした背景から、

フェラーリ=12気筒エンジンを積んだ究極のクルマ」

というイメージが生まれたのでしょう。

フェラーリのオールドファンの中には、

市販車もレーシングカーも含めて、

「12気筒でなければフェラーリではない」

と考える方も少なくなかったようです。

 

それはかつてのフェラーリF1マシン開発陣にとっても同じだったと思われます。

V型6気筒エンジンが主流だった1980年代のターボ時代を除いて、

自然吸気エンジンののフェラーリF1マシンは、

12気筒であることに長くこだわり続けました。

 

1990年代において、

他のメーカーが高性能なV10エンジンをつくり、

すでに不利な状況になっていたにも関わらず、

フェラーリだけは12気筒マシンで数年間粘り続け、

「超高音の狂おしくむせび泣くような12気筒サウンド

を世界中のサーキットに轟かせていたのです。

 

私も鈴鹿サーキットで、

1990年の予選と、1995年の予選と決勝を観戦したとき、

フェラーリ12気筒エンジンの雄叫びを生で聴くことができました。

あのすさまじい迫力と興奮は今でも忘れられません。

 

もっともフェラーリのF1マシンの名称に関して、

一部を除いて1気筒あたりの排気量を表してはいませんでしたが、

とにかく「12気筒」エンジンに強い思い入れがあったのは確かでしょう。

 

 

かつての美しいスーパーカーたちについて

 

市販車に目を転ずれば、すでに1960年代後半には、

数字が1気筒あたりの排気量を示さない超人気車が登場しています。

何十年経ってもフェラーリ・ファンの垂涎の的であり続ける、

究極に美しいミッドシップカーのディーノ246GTです。

 

自動車ファンなら誰もがご存じだと思いますが、

ディーノ246GTは「V型6気筒エンジン」を搭載し、

ネーミングは「2400ccの6気筒」を意味していました。

(初期型は排気量が2000ccで「206GT」という名称でしたが、

2400ccに排気量がアップしてから「246GT」となりました)

 

ディーノに関して、これも勝手な想像ですが(お許しを)、

もしかするとエンツォ・フェラーリは次のように考えていたのかもしれません。

 

「ディーノは私の苗字(フェラーリ)ではなく、

夭逝した愛しい息子のアルフレード(愛称ディーノ)の名からとった、

新しいブランド名である。

だからどこにもフェラーリのエンブレムはつけない。

フェラーリブランドではないのだから、12気筒である必要はなく、

フェラーリの伝統を破ったことにはならない」

ディーノ246GT

ディーノが世界中のスポーツカーファンから愛され、

いわゆる「ピッコロ・フェラーリが確たる地位を築いてからは、

そうした区別をつける必要がなくなり、

その後はすべてフェラーリと名づけられるようになったのでしょう。

(ただしディーノにもフェラーリバッジのオプションはあったとのことです)

 

その一方で、当時のフラッグシップモデルについては、

フェラーリの車名の「数字」のルールが守られていました。

その代表格は、ランボルギーニカウンタックと並んで

1970年代のスーパーカーブームを牽引したフェラーリ365GT4/BB」です。

いうまでもなく、1気筒あたり365ccの12気筒エンジンを搭載しています。

 

のちにマイナーチェンジをした際に「512BB」と名前が変わり、

フェラーリのネーミングの伝統は、ここでいったん終了したようです。

蛇足ですが、「512」は「5リットル12気筒」を表しています。

 

ところで最近知ったのですが、

フェラーリ458イタリアの「458」は「4.5リットル8気筒」の意味なのに、

フェラーリ488GTBの「488」は「1気筒あたりの排気量」の意味なのだとか。

しかも488のエンジンは「12気筒」ではなく「8気筒」なので、

もはや「フェラーリは12気筒に決まっているから1気筒分の排気量を示す」、

というかつての「前提条件」が変わってしまっています。

だんだん頭が混乱してきますが、

このおおらかさが逆に魅力だったりするのかもしれませんね(笑)。

 

いろいろ申し上げましたが、

最後に「365BBと512BBの外観上の違い」について。

私が把握している範囲では、

テールランプ:365BBは左右3灯ずつで、512BBは左右2灯ずつ

テールカッター:365BBは左右3本ずつで、512BBは左右2本ずつ

512BBには左右のドアの後ろのエアインテークがあり、

リップスポイラーも追加されている、

といったところでしょうか。

 

つまり前からも横からも後ろからも見分けがつくということです。

もしも誰かに

「これは365BBですか? それとも512BBですか?」

と尋ねられる機会があったら、

上記の違いを見て即答してください。

ひょっとしたら「すごい!」と思われるかもしれません(笑)。

フェラーリ512BB

ディーノと512BBの写真は、輸入車ショーで私が写したものです。

どちらも何時間でも眺めていられるくらい美しいなと思います。

512BBのほうは、インジェクション化された「512BBi」だったかどうか、

記憶が定かではありません。ご了承ください。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

自動車関連の投稿に関して、あくまでも趣味の範囲のお話であり、

突っ込みどころもいろいろあるかもしれませんが(笑)、

ゆるく楽しんでいければと思っています。

またのご訪問をお待ちしております。

 

※おことわり

「自動車大好き広場」は、

自動車が大好きな私が、自動車が大好きな方に向けて、

何か楽しい話題を提供できればと思って書いております。

そのため自動車用語等について詳細な説明は省いておりますので、

その点ご了承いただければ幸いです。